HYGIENIST ASSISTANT
歯や歯肉の状態の確認や、器具を使って歯石を取ったりむし歯予防のために歯に薬を塗ったりします。
保育所、幼稚園、小学校などで歯みがきの方法を指導します。最近では老人ホームなどでも活動することがあります。
歯科医のパートナーとして、患者様のお口の中を触ることが出来る歯科衛生士が診療のサポートをします。
歯科助手(歯科アシスタント)は、受付事務や診療のための雑務を担当する仕事です。
歯科衛生士のように国に認められた資格はありません。
そのため、スクールなどで独自に作った資格を1~2年制のコースで取り、学んでいます。
歯科医療の現場では、歯科衛生士が不足しているので歯科助手がその穴を埋めているといわれています。
しかし、歯科助手のスクールを卒業してから、本校に入学する学生がいます。学生達は、歯科衛生士の資格について知らなかったり、歯科助手になってみて歯科衛生士と待遇が大きく異なっていたり、歯科衛生士に比べ業務範囲が少なく雑用ばかりであったりという場面に直面し、歯科衛生士資格の重要性に気づきます。
さらに、歯科医療を体系立てて学んでいないため、医療事故に繋がる危険性が高いといわれています。
感染症についての知識も少ない歯科助手は、職場で器具の片付け等により、肝炎などに罹ってしまうこともあるようです。
「歯科衛生士」は、歯科衛生士法に基づいた国家資格であり、その資格取得について修業年限、時間数、必修学科目が明確に規定され、医療人としての業務、地位が保障されています。
それに比べ「歯科助手」は、これらについて何ら法的な基準はありません。従って、医療行為を行うことができません。事務・雑務等の、資格を必要としない業務を行えるだけなのです。このように「歯科衛生士」(医療業務従事者)と「歯科助手」(一般事務職)とでは、大きな違いがあります。上の表を今後の志望決定の際、参考にしてみてください。
歯科衛生士 | 歯科助手 | |
---|---|---|
資格 | 歯科衛生士(国家資格) 法第204号 | 公的資格なし。民間資格が数種類あるが、 特に必要ではない。 |
資格取得方法 | 厚生労働省指定の養成所等を卒業し、 国家試験に合格 |
各資格が定める |
資格の定義 | 歯科衛生士法第1条、第2条 | なし |
監督官庁 | 厚生労働省 | なし |
養成所(学校) の指定 |
歯科衛生士学校養成所指定規則 (厚生労働大臣指定)など |
なし |
修業年数 | 3年~4年 | 数ヶ月~1年 |
卒業単位数 | 93単位(2570時間以上) うち臨床実習20単位(900時間) |
法的定めなし |
教育内容 | 歯科衛生士学校養成所指定規則による | 法的定めなし |
歯科医療業務(歯科衛生士法第2条) |
|
歯科医療行為はできない。 これに違反した場合は罰則がある (法第13条・第16条の2) |
具体的な仕事内容 | 上記歯科医療業務 | 受付・事務・片付け・掃除等の 歯科医療業務以外の業務 |
平均月収 | 約26万円 (平均年齢35歳) ※1 |
約16万円 ※2 |
※1 厚生労働省「令和元年 賃金構造基本統計調査・企業規模計(10人以上)」結果より
※2 本校の求人調査より(2019年度)
グラフは就職活動を終えた歯科衛生士の皆さんに、就職先を選んだ理由をアンケートした結果だ。
先輩達が重視するトップは「勤務地」で、次に「給与」が続く。いずれも、社会人として自活するために特に重要な項目だ。同様に生活の安定に欠かせない「社会保険」に加え、「雰囲気」や、「スタッフの人柄」など、仕事をする上で精神的に充実できる項目を選ぶ人も多い。こうした項目は見学をしっかりしなければ見定めることができないものであり、多くの先輩たちが、見学を通してより深いところまで観察していることがわかる。「勤務時間」や「休日・休暇制度」は、健康的で仕事とプライベートのバランスを保てるかどうかがかかっている。最優先ではなくても必ずしっかり考慮したい事柄だ。
一方、もう少し重視してほしい項目が「教育・研修制度」。歯科衛生士として高い技術を身につけ、長年にわたって力を発揮できるかどうかは、仕事の基礎を覚える若いうちに教育をきちんと受けられるかにかかっている。就職活動をする皆さんが、この点を重視することによって、歯科医院の意識も高まっていくだろう。
このような先輩達の意見を参考にしながら、どんなことを重視するのか、どこに譲れない基準を持つのか、自分の希望を整理して就職活動に臨もう。
(参照:GUPPY)
図では、一般的な歯科医院での歯科衛生士の1日のスケジュール例を示している。歯科衛生士の役割分担は個々の医院により異なるが、就職先の仕事の分担や方針を早く覚えて、効率的な仕事を意識しよう。
朝は、診療開始の前にミーティングや診療準備を完了しておく必要がある。診療中に慌てることがないような準備が必要だ。診療中は、歯科衛生士の専門業務だけでなく、受付、カルテ管理、会計等の細かい仕事も行うことがある。昼の休憩は、しっかりとれる医院が多いが、午前と午後の診療時間の間が短い場合や、午前の診療が長引くことが多い場合は、休憩時間が少ないこともある。昼休憩をしっかりとるためには、午前中の業務でどんなことに注意するとよいのか、自発的に考えて動くとよいだろう。
歯科は急患が少なく、予約によって患者さんの数をコントロールできるが、診療が長引いたり患者さんが予定の時刻に来られなかったり、様々な理由により残業が発生することもある。残業にならないよう、空いた時間に事務仕事を済ませるなど、前倒しの仕事を心がけたい。残業が特に多い場合、組織の問題のこともある。就職先選びでは、見学や面接時に平均的な残業量を確認して実態に納得した上で入職するようにしよう。
(参照:GUPPY)
厚生労働省の統計によると、歯科衛生士の2018年の平均月給は26万8,000円、賞与等を含めた平均年収は363万9,000円である。
歯科衛生士の初任給の平均は、全国で23万4,164円、東日本で23万5,560円、西日本で23万352円である。23万円台の医院が最も多く(25%)、次いで24万円台(24%)、25万円台(17%)となっている(GUPPY調べ)。2018年の大卒女性の初任給平均20万2,600円と比べると、医療に従事する専門職であることから少し高めの給与となっている。上のグラフにあるように、月給の推移は比較的安定しており、景気に左右されることの少ない医療職の特徴が見える。2017年の雇用動向調査では、医療・福祉の業界は、離職率が14.5%と比較的高めだが、その分入職率も16.3%と高く、ライフステージに合わせて職場を変わったり、一度仕事を離れたりする人が多いことがうかがえる。
将来安泰といえそうな歯科衛生士だが、油断はできない。給与は医療保険制度変更の影響を受けやすく、人口が減っていく社会状況では患者数も減る。歯科医院や歯科衛生士の仕事自体も減っていく可能性が高い。2016年末現在で就業中の歯科衛生士は約12万4,000人。技術や応対のレベルが低ければ、再就職が難しい時代がやってくることを常に意識していよう。
(参照:GUPPY)
歯科衛生士は一般的に、結婚後、子育て中なども働きやすい職種だ。ライフステージに合わせた働き方で、仕事と私生活のバランスを保とう。
国家資格の必要な歯科衛生士は、他の職種と比べても、一度仕事を離れた場合にも復帰しやすいといえるだろう。たとえば、出産を機に仕事を辞め、子育てが一段落したら再びパートタイムで復帰、子どもが大きくなったらフルタイムで活躍するなど、ライフステージに合わせた働き方が可能だ。収入面でも、パートタイムの時給の全国平均は1,096円(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)だが、非常勤の歯科衛生士では、「1,100円以上1,300円未満」の時給を設定する医院が31.5%、「1,300円以上1,500円未満」が23.7%(公益社団法人日本歯科衛生士会調べ)と、一般的な職種に比べて有利だ。また、歯科医院は多くが予約制であり、急患対応のため多少の残業が発生することはあっても、仕事が深夜に及ぶことはほとんどなく、フルタイム勤務でも家庭生活と両立しやすい。
仕事の充実と家庭生活、双方がいい影響を与えられれば理想的だ。予防歯科に力を入れる医院が多い今、歯科衛生士が担当患者さんを持つケースも増えている。責任の大きい仕事である とを自覚しながら、仕事もプライベートも充実させることを目指そう。
(参照:GUPPY)